朝食のウインナーはなぜおいしいのか?
朝食のウインナーはおいしい。
昼食でも夕食でもなく朝食のウインナーだ。
私は特別ウインナー好きな訳ではない。
おでんの具でウインナーとはんぺん、どちらかを選べと言われたら、気分次第でははんぺんを選んでしまうかもしれない。
だけれども、朝食のウインナーはおいしい。
ウインナーとソーセージの違いすら分らなかったので、嫁に聞いてみた。
豚肉と魚肉の違いだよと教えてくれた。
あー、なるほど。
でも、ウインナーソーセージとも言ったりするよなと、茶々をいれたくなるが、とにかく。
朝食のウインナーはおいしい。
なぜ、朝食のウインナーはおいしいのか?
想像してみてほしい。
夕食の食卓に、ハンバーグステーキが出てきた場面を。
お母さんが 今日は少し、いくぶんか張り切ったのだ。
張り切ったのなら、脂のしっかりのったビーフステーキがよかったなという余計な妄想まではいらない。
とにかく、今日はハンバーグステーキだ。
その横にウインナーがちょこんと添えられている。
フライドポテト、人参のグラッセ、ポテトサラダ。
ほかほかのご飯に、みそ汁もついている。
夕食が終わって、お風呂に入って、ベッドに横になって漫画を手に取り気がついたら、寝落ちしていて朝になる。
そしたら、あなたは誰かからこう尋ねられるんだ。
昨日の夕食はどうだった?
そんな、妄想をしながら私はあることを思い出した。
それは、嫁と嫁の友達と三人で吹奏楽団の定期演奏会にいった日のことだ。
市民会館みたいなところで、地域の小さな吹奏楽団が出演していた。
そこでは40人くらいだろうか、いろいろな楽器をもった人が舞台の上で演奏していた。
トランペットにトロンボーン。
チューバにフルート、コントラバス。
吹奏楽とオーケストラは何が違うの?と私は嫁に聞いた。
管楽器と弦楽器の違いよ。と嫁は答えた。
コントラバスが入ってるじゃないかと茶々を入れたくなるが、重要なのはそこではない。
演奏会は何曲か演奏された。
その中で、クラリネットがメインになる曲が演奏されたのだ。
私は、あまり音楽には詳しくないが、どうやらクラリネットが主役になるのは珍しいらしい。
たしかに、トランペットがどーだすげーだろと自慢げに派手なソロパートを吹くのは、絵になる。サックスがスカした感じで、、、もちろん絵になる。
でも、クラリネットはとっても地味だ。
だけれども、その曲はクラリネットが最大限活かされるようになっているようだ。
それは、クラリネットだけがすごいのだろうか?
そんなはずはない。
クラリネットの音を美しく引き立たせる、クラリネットと他の楽器との関係性がすばらしいのだ。
もちろん、トランペットはソロの時のように派手な演奏はしていなかった。
ここで、またウインナーの話に戻りたい。
今日は朝食にウインナーだ。
トーストにマーガリン。
キャベツのみじん切り、スクランブルエッグにコーンスープ。
ウインナーをかじる。
やっぱりおいしい。
朝食のウインナーがおいしいのは、ウインナーと他の料理との関係性がすばらしいからだ。
朝のまだ起ききってない身体にやさしく、塩分控えめなラインナップのなかに、一際際立つ、ウインナーの香ばしさと食感。
ウインナーはウインナーだけでは成り立たない。
人間だって同じだ。
あなたもあなただけでは成り立たない。
あなたの魅力を最大限引き立たせる、他の人との関係性が出来た時に、あなたは最高の人生を送れる。
ここであなたは私からこう尋ねられるんだ。
今日は一日、どうだった?
朝食のウインナーがおいしいのは、朝食のウインナーをつくったのが愛すべき嫁だからというのはいうまでもない。